No.203新着 女性芸人の歩み 夫婦と姉妹の漫才から、THE Wの9回まで
女性の漫才師は戦前から舞台に立っていたが、名を残した組の多くは夫婦、親族、師弟のどれかだった。1970年代からは高校や大学の仲間で組むコンビや、テレビで一人の芸を見せる女性が現れた。女性だけの賞レースTHE Wは2017年から2025年まで9回開かれ、2026年は開かないと伝えられている。
本文と出典
あらまし
女性の漫才師は戦前から舞台に立っていた。
ただ、戦前から戦後にかけて名を残した女性の漫才師の多くは、夫婦、親族、師弟のどれかで組んでいた。
1970年に高校の仲間どうしで組んだ今いくよ・くるよ、1980年代にテレビで一人の芸を見せた山田邦子と清水ミチコ、1990年に大学のサークルで生まれたオアシズと、組み方も出る場所も時代ごとに変わってきた。
2017年に始まった女性だけの賞レースTHE Wは、2025年の第9回のあと、2026年は開かれないと伝えられている。
主なできごと
・1933年 叔母と姪の「ハッピー姉妹」(のちの海原お浜・小浜)が奈良県大和高田市でデビュー
・1948年 ミヤコ蝶々が夫と夫婦漫才を組む(夫はのちに南都雄二と名を改める)
・1950年 内海桂子が14歳の好江を弟子にとり、内海桂子・好江を結成
・1955年 ミヤコ蝶々・南都雄二の「夫婦善哉」が始まる
・1961年 内海桂子・好江が芸術祭奨励賞
・1967年 海原お浜・小浜が上方漫才大賞の大賞
・1970年 今いくよ・くるよ結成
・1981年 山田邦子がフジテレビ「オレたちひょうきん族」に初回から出る(1989年まで)
・1984年 今いくよ・くるよが上方漫才大賞の大賞。ミヤコ蝶々が紫綬褒章
・1986年 清水ミチコが渋谷ジァン・ジァンで初ライブ
・1988年 山田邦子がNHKの好きなタレント調査で1位(1995年まで8年続く)
・1989年 「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」(フジテレビ)が始まる(1992年まで)
・1990年 オアシズ結成(1992年にプロダクション人力舎へ)
・2002年 だいたひかるがR-1ぐらんぷりで優勝
・2017年 THE W 第1回。優勝はゆりやんレトリィバァ
・2025年 THE W 第9回でニッチェが優勝
・2026年 日本テレビがこの年のTHE Wを開かないと伝えられる
夫婦、親族、師弟で組んだ時代
海原お浜・小浜は叔母と姪の組で、1933年に「ハッピー姉妹」としてデビューした。
戦時中は敵性語を避けて「愛国お浜・小浜」と名を変え、戦後は大阪・西成のてんのじ村を拠点に、漫才作家の秋田實が書いた台本で人気を得た。
1967年に上方漫才大賞の大賞を受け、1976年にお浜が白内障を理由に引退を決めてコンビを解いた。
一門からは海原千里・万里(千里はのちの上沼恵美子)が出ており、小浜の孫には海原やすよ・ともこがいる。
ミヤコ蝶々は1920年生まれで、1927年に父の一座の座長として初舞台を踏んだ。
1947年に再婚した夫と1948年に夫婦漫才を組み、夫はのちに南都雄二と名を改めた。
1955年に始まった「夫婦善哉」は、ラジオからテレビへ移って約20年続いた。
二人は1958年に離婚しており、蝶々は1984年に紫綬褒章を受けた。
東京では、内海桂子が1950年に14歳の好江を弟子にとって内海桂子・好江を組んだ。
二人は14歳違いで、血のつながりはない。
1961年に芸術祭奨励賞を受け、1997年に好江が亡くなるまでコンビは続いた。
桂子はその後、漫才協会の会長を務め、ナイツを直弟子に持った。
同級生のコンビとテレビの一人芸
今いくよ・くるよは、京都の明徳商業高校(現在の京都明徳高校)のソフトボール部の仲間で、1970年に島田洋之介・今喜多代の門下で結成した。
1980年頃に関西テレビの「花王名人劇場」に出たことで出演の依頼が増え、1984年に上方漫才大賞の大賞を受けた。
ネタの中心は互いの体型や服装をけなし合うもので、他人を笑いものにすることはほとんどなかったとされる。
いくよは2015年に67歳で亡くなった。
1980年代には、漫才の相方を持たず、テレビで一人の芸を見せる女性が人気を集めた。
山田邦子は1981年から「オレたちひょうきん族」に初回から出て、当初からコーナーを持つ唯一の女性だったとされる。
1988年から1995年までNHKの好きなタレント調査で8年続けて1位になり、1989年から1992年には冠番組「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」を持った。
清水ミチコは1986年に渋谷ジァン・ジァンで初ライブを開き、顔まねやピアノの弾き語りによるものまねで、1987年から「笑っていいとも!」、1988年から「夢で逢えたら」に出た。
バラエティの中の女性コンビ
オアシズは、愛知県田原町出身の幼なじみの光浦靖子と大久保佳代子が、1990年に早稲田大学のお笑いサークルで組んだコンビで、1992年にプロダクション人力舎に入った。
1993年に二人で「新しい波」に出たが、後に続く「とぶくすり」のレギュラーには光浦だけが選ばれ、コンビの活動は減った。
大久保は2009年まで会社勤めを続け、2000年10月から「めちゃ²イケてるッ!」のレギュラーに加わり、2018年の番組終了まで二人で出演した。
2020年には、バラエティ番組「バナナサンド」で女芸人界に革命を起こしたコンビとして紹介されている。
THE Wの9回
THE Wは日本テレビと吉本興業が主催し、女性であればプロかアマチュアか、芸歴、人数、芸の種類を問わず出られる大会として2017年に始まった。
ウィキペディアは、それ以前に女性芸人が他局の賞レースで優勝した例は、2002年のR-1ぐらんぷりのだいたひかるだけだったとしている。
王者はゆりやんレトリィバァ(2017年)からニッチェ(2025年)まで9組で、大会の決め方と歴代の顔ぶれは賞レースの記事「上方漫才大賞からTHE SECONDまで」にまとめてある。
2026年については、6月にスポニチアネックスが開催の見送りを報じ(週刊女性PRIMEによる)、7月13日の日本テレビの定例会見でこの年は開かないことが伝えられた(ウィキペディアによる)。
週刊女性PRIMEは放送作家の話として、女性に限った賞レースを時代に合わないとする声や視聴率の苦戦を挙げているが、日本テレビ自身が理由をどう説明したかは、確かめられた範囲では原文を見つけられなかった。
なぜ受けたのか
夫婦や親族のコンビは、舞台の外の関係をそのまま客に見せられる強みがあった。
「夫婦善哉」がラジオからテレビへ移って約20年続いたのは、夫婦という組み合わせが、家族で聞くラジオや見るテレビと相性がよかったためと考えられる。
今いくよ・くるよが他人ではなく自分たちの体型をネタにしたことは、劇場とテレビのどちらでも客を選ばない笑いにつながった。
山田邦子が8年続けて好きなタレントの1位だったことは、女性の一人芸が家庭のテレビで広く受け入れられていたことを示す数字である。
評価の分かれる点
女性だけの賞レースについては、ラリー遠田が性別で分けることに疑問を示し(のちに好印象とも発言)、社会学者の太田省一は、女性限定の大会があること自体が、女性が「女性枠」でしか評価されていないことの裏返しだと述べた(ウィキペディアによる)。
一方、週刊女性PRIMEは、この大会からゆりやんレトリィバァ、阿佐ヶ谷姉妹、3時のヒロインらが世に出たことを挙げている。
山田邦子が「唯一天下を取った女芸人」と評されることがあるように、女性が全国の看板に立つ例が長く少なかったことをどう見るかで、THE Wの意味づけも変わる。
くらさんの考察
女性の漫才の組み方は、夫婦、親族、師弟から、同級生やサークルの仲間へと移ってきた。
家や師匠のつながりがなくても芸人になれる道が広がったことが、女性芸人の数を増やした一因と考えられる。
また、1980年代以降に名を上げた女性の多くは、漫才の大会よりもテレビのバラエティの中で居場所を得ており、THE Wは賞レースの側からその流れに追いつこうとした試みだったと考えられる。
9回で止まったのが、性別で分ける必要が薄れたためなのか、視聴率の事情なのかは、来年以降に大会が戻るかどうかで見えてくると考えられる。
ジージへの問いかけ
・ジージが子どもの頃に聞いた「夫婦善哉」のような夫婦漫才と、今の女性コンビとでは、笑いの質はどう違うと感じますか。
・山田邦子が8年続けて好きなタレントの1位だった頃、女性の芸人がテレビの真ん中に立つことを、どう見ていたでしょうか。
・女性だけの賞レースが2026年に開かれなかったことを、どう思いますか。
出典
・ウィキペディア「海原お浜・小浜」 https://ja.wikipedia.org/wiki/海原お浜・小浜
・ウィキペディア「ミヤコ蝶々」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ミヤコ蝶々
・ウィキペディア「内海桂子・好江」 https://ja.wikipedia.org/wiki/内海桂子・好江
・ウィキペディア「今いくよ・くるよ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/今いくよ・くるよ
・ウィキペディア「山田邦子」 https://ja.wikipedia.org/wiki/山田邦子
・ウィキペディア「清水ミチコ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/清水ミチコ
・ウィキペディア「オアシズ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/オアシズ
・ウィキペディア「THE W」 https://ja.wikipedia.org/wiki/THE_W
・デイリースポーツ「『THE W』優勝のニッチェが粗品の辛口採点に恐怖と感謝」 https://www.daily.co.jp/gossip/2025/12/13/0019812058.shtml
・週刊女性PRIME「女性芸人の賞レース『THE W』に終了報道」 https://www.jprime.jp/articles/-/42238
動画
・【女芸人No.1決定戦THE W 2025】ファイナリスト特別VTR(日テレ公式チャンネル)https://www.youtube.com/watch?v=JRIMVTPrxkQ
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