No.202新着 深夜ラジオとお笑い 若者の「解放区」で、芸人がハガキを読み、名前を売った
1967年、『パックインミュージック』『オールナイトニッポン』『MBSヤングタウン』がそろって始まり、深夜のラジオは受験生や夜更かしの若者が一人で聞く時間になった。大阪ではこの深夜枠から桂三枝と笑福亭仁鶴が人気者になり、東京では笑福亭鶴光やビートたけしが聞き手のハガキを軸にした番組で若者をつかんだ。ハガキで聞き手が番組に加わる形は、今の芸人ラジオにも続いている。
本文と出典
あらまし
1960年代半ば、テレビに客を取られたラジオは、夜更かしする若者に向けて深夜の番組を始めた。
1967年にはTBSラジオの『パックインミュージック』、ニッポン放送の『オールナイトニッポン』、MBSラジオの『MBSヤングタウン』がそろって始まり、深夜は受験生や若い働き手が一人で聞く時間帯になった。
大阪ではこの深夜枠から桂三枝と笑福亭仁鶴が人気者になり、東京では1970年代に笑福亭鶴光、1980年代にビートたけしが、聞き手のハガキを軸にした番組で若者の支持を集めた。
主なできごと
・1965年 文化放送で土居まさるの『真夜中のリクエストコーナー』が始まる(若者向けの深夜番組の最初とされる)
・1966年12月 ラジオ大阪で『オーサカ・オールナイト 夜明けまでご一緒に!』が始まり、笑福亭仁鶴が火曜を受け持つ(1969年5月まで)
・1967年7月31日 TBSラジオで『パックインミュージック』が始まる
・1967年10月 MBSラジオで『MBSヤングタウン』が始まる。10月2日にはニッポン放送で『オールナイトニッポン』が始まる
・1967年秋 桂三枝がMBSの深夜放送のオーディションを経て『ヤングタウン』に出ることになる
・1968年4月 NHKがラジオの受信料をなくす
・1969年 文化放送で『セイ!ヤング』が始まる
・1974年1月13日 笑福亭鶴光が、あのねのねの代役として『オールナイトニッポン』に出る。4月に水曜の正式担当、7月から土曜深夜へ移る(1985年10月まで)
・1981年1月1日 『ビートたけしのオールナイトニッポン』が始まる(1990年12月27日まで)
・1982年7月31日 『パックインミュージック』が終わる
・2002年4月 TBSラジオが平日深夜1時から3時の枠を「JUNK」と名付ける
・2009年10月 『オードリーのオールナイトニッポン』がレギュラー番組になる
・2024年2月18日 『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』が開かれる
深夜が若者の時間になった事情
ニッポン放送が『オールナイトニッポン』を企画した背景には、テレビの普及によるラジオ離れと、深夜の聴取率が最下位だったことがあった。
初代のパーソナリティは糸居五郎ら同局の社員6人で、最初から芸人の番組だったわけではない。
TBSの『パックインミュージック』も、声優の野沢那智と白石冬美、俳優の愛川欽也らが看板で、音楽と投書のコーナーが中心だった。
聞き手の側にも変化があった。
受験競争で夜遅くまで勉強する学生が増え、勉強部屋でラジオをつけた。
小型のトランジスタラジオで一人で聞けるようになり、1968年4月にNHKがラジオの受信料をなくしたことで、持つための費用も下がった。
ウィキペディアは深夜を「若者の解放区」と表し、ブームの頂点を1970年前後としている。
大阪では落語家が深夜から出た
桂三枝は1967年秋、MBSの深夜放送のオーディションでマカロニ・ウェスタンを題材にした新作落語を演じ、ディレクターの目に留まって『ヤングタウン』に出ることになった。
「オヨヨ」「いらっしゃーい」といった短いギャグで若者の人気者になり、1968年に吉本興業の専属となった。
翌1969年には毎日放送のテレビ番組『ヤングおー!おー!』に出始め、1971年に始まった朝日放送の『新婚さんいらっしゃい!』の司会へと進んでいる。
笑福亭仁鶴はラジオ大阪の深夜番組で1966年12月から火曜を受け持ち、ハガキを紹介するときの掛け声から生まれた「どんなんかな〜」で一気に知られた。
『ヤングタウン』はその後も芸人の出番を作り続け、笑福亭鶴瓶が1975年10月、明石家さんまが1979年12月から受け持った。
MBSの公式ページでは、2026年10月現在も土曜をさんま、日曜を鶴瓶が担当している(放送は夜10時から11時30分)。
東京では投書が番組の芸になった
上方の落語家である笑福亭鶴光は、1974年1月、あのねのねの3か月の代役として『オールナイトニッポン』に呼ばれた。
プロデューサーの亀渕昭信に色気が足りないと言われ、下ネタを前に出すと、届くハガキが週ごとに増えたという。
4月に水曜の正式担当になり、7月からは土曜深夜1時から5時までの4時間枠に移って、1985年10月まで続けた。
多い時期には週に約6万通のハガキが届いたとされる一方、苦情を受けて下ネタを1か月やめた時期もある。
1981年元日に始まった『ビートたけしのオールナイトニッポン』は、木曜深夜1時からの2時間を、ほぼ生放送で1990年12月まで続けた。
放送作家の高田文夫がスタジオに同席し、聞き手から届いたネタを読み上げる形を取った。
投稿が読まれる常連を指す「ハガキ職人」という呼び名は、この番組から広まったとされる。
この番組の人気は、1982年に『パックインミュージック』が終わった背景の一つに数えられている。
芸人ラジオの今
TBSラジオは2002年4月、平日深夜1時から3時の枠を「JUNK」と名付けた。
その月曜を受け持つ伊集院光の番組は、1995年10月に始まっている。
ニッポン放送では2009年10月に『オードリーのオールナイトニッポン』がレギュラー番組になり、2024年2月18日には東京ドームで番組のイベントを開いた。
同局の2026年10月24日の番組表でも、土曜深夜1時からの枠に入っている。
深夜3時からの『オールナイトニッポン0(ZERO)』でも、三四郎やマヂカルラブリーなど芸人が担当者に並んでいる。
なぜ受けたのか
深夜ラジオは、茶の間のテレビと違って、家族と一緒に聞くものではなかった。
トランジスタラジオで一人で聞く若者に向けて、パーソナリティは親や教師の前では口にしにくい話をした。
聞き手はハガキで番組に加わり、自分の文章が読まれれば同世代の聞き手に届いた。
画面がないぶん、顔や動きではなく言葉で笑わせる必要があり、大阪で落語家が先に深夜から人気を得たのは、話芸の下地がそのまま生きたからと考えられる。
評価の分かれる点
鶴光の下ネタは苦情で一時やめたことがあるように、深夜ならどこまで許されるかは当時から意見が分かれた。
深夜放送の始まりも、1959年に始まった『オールナイトジョッキー』、1965年の『真夜中のリクエストコーナー』、1967年の三つの番組のどれに置くかで変わる。
何を「深夜放送」と呼ぶかの線引きによる違いである。
くらさんの考察
深夜ラジオは、芸人が売れていく順番を変えたと考えられる。
それまでの芸人は寄席や劇場で客をつかみ、そのうえでテレビに呼ばれた。
三枝や仁鶴は、深夜のスタジオで若い聞き手をつかんでから、テレビの司会へ進んでいる。
客席の笑い声の代わりに、届くハガキの数が人気の物差しになった点も新しい。
鶴光が週ごとに増えるハガキを見て芸風を決めたように、聞き手の反応が芸そのものを変えた。
投稿の宛先がメールやSNSに変わった今も、芸人がひとりで話し、作家が脇につき、聞き手が投稿で加わる形はほとんど変わっていない。
ジージへの問いかけ
・ジージは中学や高校の頃、深夜放送を聞いていましたか。聞いていたなら、どの番組でしたか
・番組にハガキを出したことはありますか。読まれるハガキと読まれないハガキの違いは、どこにあったと思いますか
・テレビで見た印象とラジオで聞いた印象が、大きく違った芸人はいますか
出典
・ウィキペディア「深夜放送」 https://ja.wikipedia.org/wiki/深夜放送
・ウィキペディア「オールナイトニッポン」 https://ja.wikipedia.org/wiki/オールナイトニッポン
・ウィキペディア「パックインミュージック」 https://ja.wikipedia.org/wiki/パックインミュージック
・ウィキペディア「MBSヤングタウン」 https://ja.wikipedia.org/wiki/MBSヤングタウン
・ウィキペディア「桂文枝 (6代目)」 https://ja.wikipedia.org/wiki/桂文枝_(6代目)
・ウィキペディア「笑福亭仁鶴 (3代目)」 https://ja.wikipedia.org/wiki/笑福亭仁鶴_(3代目)
・ウィキペディア「笑福亭鶴光のオールナイトニッポン」 https://ja.wikipedia.org/wiki/笑福亭鶴光のオールナイトニッポン
・ウィキペディア「ビートたけしのオールナイトニッポン」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ビートたけしのオールナイトニッポン
・ウィキペディア「伊集院光 深夜の馬鹿力」 https://ja.wikipedia.org/wiki/伊集院光_深夜の馬鹿力
・ウィキペディア「オードリーのオールナイトニッポン」 https://ja.wikipedia.org/wiki/オードリーのオールナイトニッポン
・MBSラジオ「MBSヤングタウン」公式ページ https://www.mbs1179.com/yantan/
・ニッポン放送「オールナイトニッポン」公式ページ(2026年10月24日の番組表) https://www.allnightnippon.com/
・オリコンニュース「TBSラジオの深夜枠『JUNK』20周年」(2023年2月6日) https://www.oricon.co.jp/news/2266635/full/
動画
・[2018年12月10日(月)]ビートたけしのオールナイトニッポンPremium(オールナイトニッポン公式チャンネル)https://www.youtube.com/watch?v=4QHHVUyJhoY
関連動画
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